こんにちは、メドゥプ指導師範のまりのすです。
韓国の伝統文化に興味を持てば持つほど、せっかく韓国に住んでいるなら韓国の伝統技術をひとつくらいは習得したいと思うようになり、思い切って教室に通ったところ、指導師範の資格まで取得してしまいました!
メドゥプは日本でも各地で教室が開かれていますが、韓国現地で学ぶための情報はなかなか手に入りにくいので、この記事で私が資格を取得するために通った韓国文化センターと、メドゥプの講座について詳しく紹介します。
目次
いろいろ学べる韓国文化センター
私がメドゥプを習ったのは韓国文化センターという社団法人が運営する講座です。
韓国文化センターはメドゥプなどの伝統工芸だけでなく、刺繍やフラワーアートなど様々な工芸に関する講座を開いている生涯教育機関です。
ソウルだけでも18件、全国では73件の支部があり、年会費(5万ウォン)を支払えば会員は支部をまたいで自由に受講することができます。
授業ごとにカリキュラムは組んでありますが、開講日程は決まっていないので、いつでも自由に問い合わせて学びに行くことができます。先生も生徒も、主婦や引退後の年齢層の高い女性が多く、とてもアットホームな雰囲気です。

メドゥプの課程と授業料
韓国文化センターの전통매듭(メドゥプ)の授業は4つの段階に分かれていて、下から順番に基礎班、深化班、師範班、指導師範班となっています。
段階ごとに授業料が異なり、授業料は1回だけ支払います。
ひとつの段階は3ヶ月以内に履修しなければならず、履修できなかった場合でも返金はできません。
私のときは授業料に材料費も含まれていて、毎回必要な材料を先生が全て用意してくれました。
송곳や답비などの道具は材料費に含まれないので別途購入が必要です。
それぞれの内容と授業料は以下の通り。
段階 | 内容 | 授業料(+材料費) |
基礎班 | 12技法 (도래, 가락지, 잠자리, 생쪽, 삼정자, 끈목풀기 등) 7作品 | 9万ウォン |
深化班 | 11技法 (국화, 매화, 가지, 암나비, 꽃장식, 병아리 등) 8作品 | 18万ウォン |
師範班 | 7技法 (수나비, 석씨, 벌, 항아리, 낙지발술 등) 5作品 | 22万ウォン |
指導師範班 | 6技法 (사색판, 공작, 스타, 왕비국화 등) 6作品 | 33万ウォン |
師範は教室などでメドゥプを教える一般的な先生で、指導師範はその先生を育成することができる師範だそうです。
私が習い始めてから資格を取得するまでの過程はインスタのハイライトにまとめてあるので見てみてください!
資格試験
メドゥプの資格は2級と1級の2つに分かれていて、2級に合格すれば1級を受験できます。
ちなみに資格取得は必須ではないので、事前に伝えておけば課程履修だけも可能です。
試験内容はポートフォリオと作品制作、1級の場合は制限時間内に암나비(雌蝶)を結ぶという実技試験もありました。
級数 | 範囲 | 内容 | 受験費 |
2級 | 基礎、深化、師範 | ポートフォリオ、作品制作 | 15万ウォン |
1級 | 指導師範 | ポートフォリオ、作品制作、実技 | 9万ウォン |
ポートフォリオ

2級は試験範囲も広く、ポートフォリオは30技法全て作らなくてはいけなかったのと、韓国語で説明を書かなくてはいけなかったので本当に本当に大変でした。まさか大学卒業しても夜な夜な作文に悩まされるとは思ってなかった。。
「文章で書くのが難しいから手から手に伝えられてきたのがメドゥプの特徴」と言いながら文章で説明させるなんて鬼畜。。

作品創作
作品は自分でデザインし、房を除いた全長が70cmを超え、必ず学んだ技法が2つ以上入っていることが条件でした。
ネットを見ると同じ技法でもいろんなスタイルがありますが、基本的にはセンターで学ぶ協会流のスタイルで作品を作るのが無難です。
使用する紐の種類は指定がないので、少しでも大きく作れるように私は꼰중사(꼰소사より少し太い紐)を使用しました。


1級作品は完成させた後に「房の上にはカラッチがあるのが協会流」と言われ、途中で紐を追加で繋いで作り直したのは秘密…
私が受験した2回とも、コロナ19の影響でzoomを使用した非対面受験が実施されました。ポートフォリオは事前に協会へ送り、試験当日は作品に関しての簡単なプレゼンを行いました。メドゥプの受験者は5〜8人ほどだったので試験時間は30分〜1時間ほどでした。
本来であれば試験会場に集まって、他の受験生の作品も見ながら面接するそうです。
他の受験生の作品を直接見れなかったのは残念ですが、オンラインだと緊張感も抑えられて、作品は細かい部分のごまかしがきくのでラッキーだったかもw
資格証
合格後には資格証も発行されます。パスポートみたいなケースに入っていて結構立派!

韓国文化センターに通って感じたメリット・デメリット
授業料が安い、でも価格が不明瞭
韓国文化センターが女性の社会復帰や独立を応援していることもあってか、授業料はとても安く設定されていると思います。特に通った期間に関わらず、授業料が固定なのが良心的。
それでも合計106万ウォンかかったのはちょっとびっくり。。
というのもこの金額は事前に伝えられておらず(自分も事前に聞かなかったのが悪いですが)、進級するたびに跳ね上がる授業料を急に請求されるので、途中で騙されてるのかな..と思ったこともありました。
カリキュラムなどがまとめられたパンフレットなどもなく、サイトにも授業料は一番最初の基礎班のものしか提示されていません。
逆にこれだけお金かかってるんだから「やめられん!絶対ものにしてやる!」というモチベーション効果にもなりましたし、今となっては学べるレベルと材料費を考えると安いほうだと感じます。
体系化された授業、でも先生は当たり外れがあるみたい
学べる内容が体系立てて決まっていて、基礎をしっかり身につけてから応用を学べるのが良かったです。
個人の工房では1日セミナーが多く、本当に基礎的なものしか学べなかったり、急に複雑な技法を学ぶのでうまく形にならなかったりすることが多いのではないかと思います(他で学んだことがないので憶測ですが。。)
しかし授業のクオリティに関しては先生によって当たり外れがあるそうです。
私の先生はとても厳しい方ですが、綺麗な作品のお手本をしっかり見せてくれたり、力加減や配色のコツなどを丁寧に教えてくださったのですが、中にはただ結び方を教えるだけの方も多いそうです。
先生の教え方はやはり学生の作品にも現れてくるので、特に試験の時に外の受験生の作品を見る時に感じました。
先生の指導に関してはくじ引きなので仕方ないですが、学び方に関して事前に伝えておいたり、センター長に相談するなどして先生を変えてもらう方法もありだと思います。
ある程度自由な時間選択、働きながらはすこしきついかも?
授業の時間は先生と相談して決めることができます。
先生がセンターに来る日が決まっていれば合わせなければいけませんが、時間帯などは相談して決めれるのである程度自由です。
私は時間があったときは水曜日の午前中に通っていましたが、転職してからは退勤後の夜に通いました。週に1回2時間ほどですが、これも先生によっては週に2回など分けることも可能だと思います。
授業時間は短いですが、ひとつの課程を3ヶ月以内に終わらせなければいけないので、働きながら通っていた私は少しきつかったです。
学ぶ技法は少なくなっても、ひとつひとつがどんどん複雑になって時間もかかるのに、練習する時間もなくて、昼休憩の間に会社で練習したりしてました。
試験前の作品制作のときはリアルに泣いた・・・
私は2020年の4月から2021年の5月までの約1年間通いましたが、こうやって振り返ってみると、あっという間でも充実した学びの時間でした。
韓国文化センターの授業はメドゥプに限らず、韓国に住みながら韓国語で何かを学んでみたいという方にはとてもおすすめの方法だと思います。 私もまだまだ学んでみたいことがあるので、次の受講を考えているところです。
もし韓国で時間がある方は挑戦してみてくださいね。