こんにちは、(一応)韓国伝統結びメドゥプ指導師範のまりのすです。
2021年7月15日、ソウルは安国、北村の入り口にソウル工芸博物館(SeMoCA)が開館しました。
メドゥプの師範として、工芸品の中でも目立ちにくいメドゥプの展示規模を確かめるべく、私も早速視察してまいりました!
1ヶ月の来場者数が12,400人、予約率97.6%と、
コロナ渦にも関わらず、開館後まもなくソウルのホットプレイスとなったソウル工芸博物館を紹介します。
(ちなみにこの記事を書いている9月の初め、観覧予約は1ヶ月先までフルで埋まっています。。)
国内初の工芸品だけを扱った公立博物館
韓国の工芸品は国立民族博物館や国立中央博物館でも見ることはできますが、
工芸品だけを専門的に扱った公立博物館は韓国国内でこれが初めて。
2万点余りの工芸品と工芸資料を所蔵しており、
作品の展示だけでなく、体験し、学べる知識共有の空間となっています。
ソウル工芸博物館は工芸品だけでなく、工芸を取り巻く知識、記録、人、環境などを研究し共有することで、工芸が持つ技術的、実用的、芸術的、文化的価値を経験できる躍動的なプラットフォームになることを目的としています。
ーソウル工芸博物館公式ホームページより
ソウル工芸博物館は安国駅6番出口を出てすぐ、三清洞へ続く道の曲がり角に位置しています。
そういえばずっとここ工事してました、、まさか工芸博物館になるとは。
ここは以前、旧豊文女子校(풍문여고)があった場所で、
2014年に博物館の設立を計画し、2017年にソウル市が買い取ったそうです。
ソウル市は約536億ウォンを投入し旧豊文女子校(풍문여고)の校舎5棟をリモデリングしました。
増築した案内棟と韓家建築(現在工事中)を合わせて7棟の構成になっています。
この場所は朝鮮時代、世宗大王が息子・永膺大君(8人目の息子らしい…)のために家を建てた場所であり、
高宗が純宗の嘉禮(가례)のために建てた安国洞別宮(안국동별궁)があった、歴史的にも由緒ある場所なのです。
またここは、手工芸品を制作し、官に納品していた朝鮮の匠人’京工匠(경공장)’たちが存在した鍾路区の中心地域でもあり、周辺には北村、仁寺洞、景福宮などが隣接していて、多様な文化的経験が可能な場所でもあります。
ーソウル工芸博物館公式ホームページより
あのアイドルも訪れた人生写真の名所
真っ白な壁のレトロな建築物を背景に人生写真(인생샷)を撮りに来る若者も多く、
人生写真の名所としてインスタグラムでもすでに話題になっています。
アイドルだけでなくバラエティ芸人(?)としても話題のSHINee・Key君も開館間も無く訪れていました。
(ちなみに私は高校の時からしゃうぉる)
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館内は自由に写真撮影が可能で、写真を撮ることを前提にしたような壁紙や、博物館の窓とそこからの眺めを利用した展示がなされています。
館内観覧には予約が必須となっていますが、壁や入り口のない開放された広場は誰でも自由に立ち入ることができます。
気温も落ち着いた季節、天気の良い日にはここで写真を撮って過ごすだけでも楽しめそうです。
工芸品に触れる館内のインテリア
館内には展示品だけでなく、利用者のための施設にもたくさんの工芸品が使われていました。
案内棟の待合室にある竹でできた椅子は座り心地も良く、
ガラス張りの窓から差し込む夏の光とよくあっていました。
家にひとつ欲しいくらい。。
こちらの作品はソウル工芸博物館のYouTubeチャンネルで制作過程が公開されています。
10月に再度訪問した際には模様替えされていました。生活の一部である工芸品を展示する博物館らしさが表れていますね。
展示室の隅にある休憩用のベンチも、李朝家具・小盤(ソバン)を思わせる、シンプルながら木の温かみを感じる造りでした。
伝統刺繍、結び、木工家具、螺鈿…工芸品の全てが集約
やっと展示品の紹介ですが、
こちらは是非皆さんに直接足を運んで見ていただきたいので簡単に説明します。
常設展示は工芸歴史展示と織物工芸展示に分かれて、さらにそこから6つのテーマに分かれています。
工芸歴史展示
- 自然から工芸へ – 匠人、工芸の伝統を作る
- 匠人、世を正す
- 工芸、近代の門を開く
- 工芸、時代を照らす
織物工芸展示
- 刺繍、花開く
- ポジャギ、日常を包む
残念ながらメドゥプは独立展示ではなく、工芸歴史展示の中で紹介されていました。
展示2棟の2階に位置しています。
見るだけじゃない、触れて作れる体験型展示
知識共有の空間を目指していることもあり、作品の展示だけでなく、実際に触れて、考えるような展示の工夫が施されていました。
メドゥプはそれぞれ何を表現しているのかの説明もあり、紐の材料や結びを直接触ることができました。
ポジャギの展示では、チョガッポ(조각보)の模様作りを体験できる積み木も置いてあり、
大人も頭を使いながら楽しめる展示になっています。
他にも金属工芸の展示室では、金属同士がぶつかったときの清涼感のある音が定期的に鳴り響いていたり、
四方が巨大なスクリーンで覆われた部屋で、アート展示のような映像が流れていたりと、
映像資料もひとつひとつ丁寧に作られていて見応えたっぷりとなっています。
伝統工芸の過去とこれから
ソウル工芸博物館には過去の作品だけでなく、現代の作家が作る工芸品も数多く展示されています。
伝統を残しながらも、現代生活の一部となった工芸品の展示はまるでショールームのようでした。
こんな素敵な家具に囲まれた生活をしてみたい・・!
コロナの影響で開館式が暫定延期となり、実はまだまだ仮開館状態のソウル工芸博物館。
資料室や図書館、児童博物館などなど、これからもっと多くの施設がオープンし、コンテンツが充実していく予定です。
1時間ちょっとではじっくり見る余裕がないくらい盛り沢山だったので、工芸品の勉強のために、今後もたくさん足を運びたいと思います。
いつか私の作品も展示できてらいいな、なんて思ってます。
案内棟のミュージアムショップとカフェがオープンしました!
ソウル工芸博物館のロゴが入った記念品や、陶芸作品も購入できます。
ガラス張りの高い天井で青空を見ながら一息つけるカフェもあります。
この日は日中も−6℃ととても寒かったのですが、まるで外にいる気分になれてとても気持ちのいい空間でした。
そして平日は事前予約の必要がなくなり、自由に観覧できるようになりました。
週末はまだ予約が必要なので、公式サイトで予約してくださいね。
施設情報
ソウル工芸博物館
(Seoul Museum of Craft and Art / SeMoCA)
場所
ソウル市鍾路区栗谷路3キル4(安国洞175−112)
서울 종료구 율곡로3길 4 (안국동175-112)
休館日
毎週月曜、1月1日、ソウル市指定休館日
観覧料
無料
公式ホームページにてログイン後、予約可能です。
観覧時間:10:00-18:00
1日 6回
回別観覧人数:90人
観覧時間:80分
参考
ソウル工芸博物館公式サイト서울공예박물관 공식홈페이지
参考
ソウル工芸博物館公式Instagram서울공예박물관 인스타그램
参考
ソウル工芸博物館公式YouTube서울공예박물관 유튜브